ベンチャー企業ってどんな会社なの?スタートアップ企業と違うの?
ベンチャー企業にはどんな人が向いているのかしら?
こんな悩みをお持ちの方向けに、当記事では、ベンチャー企業4社での勤務経験がある筆者が、ベンチャー企業の特徴、メリット・デメリット、向いている人などについて解説していきます。
・ベンチャー企業とはどのような会社なのかを知りたい人
・ベンチャー企業のメリット・デメリットを知りたい人
・ベンチャー企業にはどんな人が向いているかを知りたい人
ベンチャー企業とは?定義・成長ステージを解説
最初に、ベンチャー企業の定義、成長ステージなどの基本事項について解説します。
ベンチャー企業の定義
ベンチャー企業とは、独自のアイデアや技術で新たなサービスやビジネス、事業を展開する企業を指します。
「資本金○○円以下」「創業○○年以内」などの明確な定義や基準は設けられていません。
皆さんも聞いたことがあるような有名企業も、実はベンチャー企業だったりします。
・株式会社サイバーエージェント
・株式会社リクルートホールディングス
・GMOインターネット株式会社
・株式会社マネーフォワード など
ベンチャー企業の4つの成長ステージ
ベンチャー企業は、成長段階や従業員数に応じて4つの成長ステージに分けることができます。
若い順から、シード→アーリー→ミドル→レイターと呼んでいます。
事業の仮説検証
製品、サービスをリリース
事業が安定
黒字化・成長路線
ベンチャー企業への転職を考える際には、その企業がどの成長ステージにいるかを知っておくと、会社のイメージがしやすいです。
ベンチャー企業とスタートアップ企業、中小企業との違い
ベンチャー企業と混同しやすい企業形態で「スタートアップ企業」と「中小企業」があります。
これらの業態とベンチャー企業の違いについて見ていきましょう。
ベンチャー企業とスタートアップ企業の違い
スタートアップ企業は一般的に「革新的なアイデアで短期的に成長する創業2~3年の企業」を指します。
こちらもベンチャー企業と同様に明確な定義はなく、「スタートアップ企業≒ベンチャー企業」のように使われることもありますが、厳密には3つのポイントで相違があります。
①ビジネスモデル
最初にビジネスモデルの違いについてです。
ベンチャー企業 | 革新的な事業を進める企業もあれば、既存のビジネスモデルをベースに事業を行う企業もある |
スタートアップ企業 | 全く新しいビジネスモデルを創り出す企業 |
全く新しいビジネスモデルを創り出す分、スタートアップ企業の方が敷居は高いです。
②収益性
次に収益性の違いについてです。
ベンチャー企業 | 中長期的に着実な右肩上がりの黒字化を目指して経営する |
スタートアップ企業 | 出口戦略(*)を重視。飛躍的な成長を目指しつつ、企業価値を高めてからイグジットに持っていくことが多い |
ベンチャー企業は“着実な”、スタートアップ企業は“飛躍的な”収益向上を目指します。
(*)損害を最小限に抑えつつ撤退するための事業戦略
③設定目標
最後に設定目標についてです。
ベンチャー企業 | 中長期的なスパンで成長を目指す |
スタートアップ企業 | ベンチャー企業よりも短期間での急成長を目標としている |
ベンチャー企業は“中長期的なスパン”、スタートアップ企業は“短期的なスパン”での成長を目指します。
ベンチャー企業と中小企業の違い
中小企業はベンチャー企業やスタートアップ企業と異なり、中小企業基本法によって明確に定義されています。
中小企業者 (下記のいずれかを満たすこと) | 小規模企業者 | ||
業種 | 資本金の額 または 出資の総額 | 常時使用する 従業員の数 | 常時使用する 従業員の数 |
製造業、建設業、運輸業 その他 | 3億円以下 | 300人以下 | 20人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 | 5人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
・ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金3億円以下 または 従業員900人以下
・旅館業は、資本金5,000万円以下 または 従業員200人以下
・ソフトウエア業・情報処理サービス業は、資本金3億円以下 または 従業員300人以下
上記の情報は、中小企業庁ウェブサイトを基に編集した情報です(2022年11月)
つまり中小企業の中には、ベンチャー企業と非ベンチャー企業が混在しているということです。
ベンチャー企業で働くデメリット
大企業と比べると経営が不安定で、給料や福利厚生に不満を感じることも
ベンチャー企業は、設立してからあまり時間が経っていなく、成長中の企業が多いです。そのため創業期は会社の収益基盤が固まっていなく、利益があまり出ていない場合もありえます。
また、ベンチャー企業では給料や福利厚生が十分に整っていない場合があります。特に大企業や中小企業での勤務経験がある人がベンチャー企業で働き始めると「給料が少ない」「福利厚生が充実していない」と感じる人が多いかもしれません。
ただしベンチャー企業と言っても千差万別です。大企業並みに収益基盤が安定していて給料や福利厚生が充実している会社もあります。
今は経営が不安定でも、将来的に事業が軌道に乗って収益基盤が安定して、給料や福利厚生が充実する可能性も十分あります。
教育体制が十分ではなく、即戦力を求められることが多い
ベンチャー企業では人的リソースに限りがあることから、社内の教育体制が十分ではない会社も多く、入社してすぐに動ける「即戦力」となる人材を求められるケースが多いです。
もちろん、メガベンチャーとも言われる大企業と同等の規模に成長したベンチャー企業では、教育体制が充実している会社もあります。
あくまで全体的な傾向として理解しておきましょう。
経営方針が合わない場合がある
ベンチャー企業は良くも悪くも経営者の考え方が大きく経営方針に影響します。そのため「経営者の考え方と合わない≒経営方針とも合わない」という可能性があります。自分の考え方と経営方針が大きく異なる状態で長く働くことは難しいです。
転職する際には、事前にその会社のホームページや転職サイトなどで経営者の考え方や経営方針を調べて、自分の考え方と合っているかを確認しましょう。
ベンチャー企業で働くメリット3選
幅広い業務に携わることができ、成長できる
ベンチャー企業は大企業より人数が少ないため、社内での兼業は当たり前で一人一人の業務は多岐に渡ります。
その分、色々なことに挑戦できるうえ、一人当たりの裁量は大きく、責任ある仕事を任せられやすいため成長しやすい環境であると言えます。
筆者は動画編集技術を学ぶことができ、独立した今では収益源の一つになっています。まさに“芸は身を助ける”ですね。
経営者との距離が近い
大企業の場合、一般社員が会社の役員と接する機会は限られている人がほとんどですが、従業員数が少ないベンチャー企業の場合には直接経営者と接する機会は多いです。
仕事の悩みを相談したり、自分の考えを直接社長や役員に伝えたりすることも、ベンチャー企業であれば実現しやすいでしょう。
経営層の働き方を間近で見ながら、ノウハウや考え方を吸収していくこともできます。
特に将来独立を考えている人には大きなメリットです。独立した際に、それまで見てきた経営者の考え方や行動は非常に役立ちます。
業務の成果が待遇に反映されやすく、将来、大きなリターンを得られる可能性がある
大企業に比べると、ベンチャー企業では会社に大きな利益を出すような成果を出した場合、昇進とともに待遇が反映されやすいです。
また「ストックオプション制度」を導入している会社であれば、将来的に大きなリターンを得られる可能性があります。それを目当てにベンチャー企業で働きたいという人も少なくはありません。
ストックオプション制度で購入した株が、上場後に一気に値上がりして、一夜にして億万長者ということも・・・。夢がありますよね。
こんな人はベンチャー企業に向いている
ここからはベンチャー企業に向いている人を解説します。当てはまる数が多いほど、ベンチャー企業向きの人であると言えます。
新しいことへの挑戦意欲があって成長したい人
ベンチャー企業は、新しい事業やサービスを生み出す会社です。そのため、世の中のニーズを捉えて、新しいことにも積極的に取り組んでいく姿勢が必要です。また新しいスキルの習得や資格取得など普段から自己研鑽は欠かせません。
一人一人の社員の成長が、会社の成長にもつながります。
仕事を楽しめるポジティブな人
ベンチャー企業は、個人の裁量が大きい・仕事の範囲が広い・仕事量が多いという傾向があります。
これを聞くと「大変」「忙しい」とネガティブに捉えてしまう人もいますが、「様々な仕事に取り組める」「自身の成長につながるチャンス」とポジティブに捉えることができる人は、ベンチャー企業への適性があると言えます。
将来的に起業・独立をしたいと考えている人
先述の通り、ベンチャー企業では幅広い業務に携われたり、経営者の距離が近かったりと起業・独立に役立つ要素がたくさんあります。
起業・独立した当初は、人的リソース面や資金面から、色々な仕事を一人もしくは少人数で行う必要がある場合が多いです。その際、特にベンチャー企業で経験したノウハウや経験が大いに役立ちます。
将来的に起業・独立をしたいと考えている人はベンチャー企業に向いています。
筆者はベンチャー企業で働いているうちに、起業・独立したいと考えるようになりました。
自己管理がしっかりできる人
ベンチャー企業では、業務進行のマニュアルが明確に決められていない場合も多いので、自己管理がしっかりできる人が向いています。自分で目標を決めて仕事の優先順位を判断し、様々な業務のスケジュール管理を行う必要があります。
自己管理能力が低い人は、ベンチャー企業で滞りなく業務をこなすことは難しく、新しいプロジェクトや重要なプロジェクトを任せてもらえなくなってしまう可能性もあります。
逆に自己管理能力が高い人には、新しいプロジェクトや重要なプロジェクトが任せられ、昇進や給料アップにつながる可能性があるとともに、自分自身の成長も早まります。
プレゼンテーションが得意な人
ベンチャー企業は取引先や市場に対して、自社を積極的にPRしていく必要があるため、プレゼンテーションが得意な人も向いています。また、相手に伝わりやすくメリット・デメリットを提示することができる人も社内外で、その能力を活かす機会も多いためベンチャー企業向きです。
プレゼンテーションが得意な人は、面接の際に、プレゼンテーション能力を活かした自己アピールをすることもおすすめです。
まとめ:ベンチャー企業には大企業にはない魅力がたくさんある
今回の記事ではベンチャー企業の特徴を解説してきました。
大企業にはない魅力がベンチャー企業にはたくさんあります。
ベンチャー企業への転職の際には、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。